事故ブログ
2011年12月15日 木曜日
もしも交通事故の相手が無保険ドライバーだったら
自動車事故。地震や火事よりもはるかに身近で、遭遇する確率の高いトラブルです。運転する人はもちろん、そうでなくても歩行者として被害者になる可能性が常にあります。全国の交通事故死者数は毎年減少傾向にはあるものの、それでも年間で5000人弱が交通事故で命を落としています(2010年の年間交通事故死者数は4863人。警察庁発表の交通事故発生状況より)
【防災・防犯ラボ:もしも交通事故の相手が無保険ドライバーだったら...】
最近私の周りで立て続けに起きたのが「任意保険未加入者との事故」。それも、未加入者が加害者であるという最悪のケースです。相手が任意保険に入っていないため、交渉がままならなかったり、失うモノはないとばかりに無視を決め込む輩もいたりと、じつにけしからん事態になっているのです。
こんな理不尽なことが許されるのか? こっちがいくらマジメに任意保険に加入していても、相手次第でやられ損になってしまうのか? どうすれば危険を回避できるのか? ――分からないことだらけです。そこで今回は、保険のエキスパートで誠ブロガーでもある、しごとにんさんに、その辺りの話を聞いてきました。
●しごとにんさんのプロフィール
10年余り生命保険業に所属し、一社専属の大手国内生保から乗合い代理店、保険ショップ運営を経験。現在は業界から距離を置き、俯瞰(ふかん)できる立場で個別相談や執筆活動を行う。また、「保険選びネット」というWebサイトでもコラムを執筆中。
誠ブログ「生保のトリセツ」:(http://blogs.bizmakoto.jp/shigotonin/)
●無保険ドライバーと事故ったら、やられ損なのか?
しごとにん 基本的なことからお話すると、自動車保険は自動車損害賠償責任保険(通称:自賠責)と任意保険の2つに大別できます。
ナカヤマ 自賠責保険は強制で、それにプラスαで任意保険に加入するのが一般的なパターンですね。
しごとにん そう、法律にのっとって車検を受けている人であれば、自賠責には必ず加入しています。でも任意保険は文字通り任意ですので、入っていなくても別に構わないということになります。
ナカヤマ 自賠責の補償額は3000万円でしたっけ?
しごとにん 上限が被害者1人につき死亡3000万円ですね。過失割合などの条件で額が下がることはあります。
ナカヤマ 任意保険の加入は義務ではないということは、事故の相手が保険未加者だったら、運が悪かったとあきらめるしかないのですか? すごく怖いし、納得ができないのですが。
しごとにん いえ、大丈夫。ちゃんと自衛できます。ご自身で入っている任意保険に人身傷害特約は付いていますか? これがあれば、相手の保険加入状況に関係なく保険金が支払われます。
ナカヤマ つまり、やられ損はないと?
しごとにん そうです。過失割合次第ですが、その割合に応じて自分の加入している保険会社から保険金が出ますから、それを治療費に充てればよいということです。
ナカヤマ (財布の中から自動車保険カードを取り出して......)あ、人身傷害付いてます。
しごとにん ならばそこは大丈夫ですね。車の保険の基礎となる土台は相手への賠償です。これは最低必要です。その上にくるのが自分の身を守る人身傷害特約。で、さらに車両保険で車本体を守る、という優先順位になります。人身傷害特約はオプションですが、こういうケースを想定してどなたも入っておくことをオススメしますね。
●特約はケチるな
しごとにん 対人と対物はどうなっていますか?
ナカヤマ ええと......どちらも無制限になっています。
しごとにん ならば問題ありません。3000万円など上限を設けることもできますが、無制限にしておく方がよいでしょう。保険金額は多めに見積もっても年間で数1000円しか変わらないので、ケチらないことです。
ナカヤマ それ以外にアドバイスはありますか?
しごとにん やはり、生命保険の加入もしてある方がよいでしょう。というのは自賠責での3千万円はあくまで上限ですので、実際問題として死亡保障としては心もとないかと思います。あと、できれば弁護士特約もあると交渉窓口になってくれるので安心ですね。
ナカヤマ それも入ってます!
しごとにん そこまでカバーしていれば、無保険ドライバーにおびえる必要はないですよ。
●意外と多い? 保険の更新忘れに気をつけましょう
しごとにん 保険を正しく使えば、相手が誰であれ大抵のリスクから自衛が可能です。本当に怖いのはこちらが加害者になってしまった場合です。
ナカヤマ ですよね......ドライバーは誰だって犯罪者になってしまう可能性があるわけですから。
しごとにん 自動車事故で相手を死なせた場合は刑事事件になり、(状況次第ですが)刑務所行きを覚悟した方がいいでしょう。もちろん前科歴が付きますし、賠償も重くのしかかる。出所後の人生が大きく狂うのは想像に難くないですよね。
ナカヤマ 免許更新のとき、顔にモザイクの掛かった受刑者が登場するビデオを見せられますが、あれ見ると本当に気がめいるというか、自分がそうなったらどうしようとか、無性に怖くなります。
しごとにん 法の裁きは今回のテーマではないので触れないでおきましょう。で、自動車事故の真の悲劇は、無保険状態で加害者になってしまうことなんです。
ナカヤマ え? でも任意保険に加入していれば、そういう事態にはならないはずですが?
しごとにん それが、まれにですが契約者が更新をし忘れていて、本人は気が付かないまま無保険状態で車を運転しているというケースがあるんです。それでいざ事故を起こして保険会社に助けを求めたら、「切れてますけど」と言われて頭を抱えるという......。
ナカヤマ まさかそんなことが。
しごとにん あるんですよ。
ナカヤマ ......そういえば更新時期には保険会社からハガキで連絡が来ますね。あの返事を出し忘れてしまうと契約は自動終了してしまいますね?
しごとにん ええ、損害保険は毎年加入者が更新せねばなりません。自動更新の方が保険会社はありがたいですが、そうではないんですね。つまり、放っておくとリセットされてしまいます。
ナカヤマ 何かの拍子でハガキを片付けたり、後でやろうと思って本の間に挟んだりとか、ありそうですね。
しごとにん そういう本人のミスもあるし、引越しなど転居連絡の不備による不達、代理店の廃業という本人は関係のない落とし穴もあります。
ナカヤマ うわあ......、保険会社から連絡があると決め付けるのはまずいかも。
しごとにん 基本的には保険会社がリマインドしてくれます。ただ、絶対確実ではないと心しておきましょう。
●保険の更新作業を忘れないコツ
ナカヤマ 更新のし忘れが命取りになることもあるわけですが、しごとにんさんが実践している忘れないためのコツってありますか?
画像:保険の更新を忘れないようスケジューラーで管理
(http://bizmakoto.jp/bizid/articles/1111/22/news002.html)
しごとにん ハガキが届いたら、私はすぐに済ませてしまいますよ。どうせ継続するのだから待たずにさっさと処理します。やってはいけないのが(引き出しに片付けたり、棚の上に置くなど)キレイに保管してしまうこと。でも、平日の朝の忙しいときにハガキを手にすると、つい「帰宅してから......」となるでしょう。そういうとき、私は自宅のデスクトップPCのスクリーンに目立つように張ります。原始的ですが、これなら絶対に見落とすことはありません。
ナカヤマ 私は、毎年保険が切れる前日とその1カ月前のタイミングでスケジューラーからアラートを飛ばすよう設定しているのですが、このおかげで余裕を持って更新できています。
しごとにん それいいですね。紙の手帳でもGoogleカレンダーでも、ご自身のやりやすい方法でタスクとして予定に落とし込んでおくのはいいアイデアだと思いますよ。
●通販系の保険加入時に犯しやすいミスとは
しごとにん 最近普及している通販系の保険にも言及しておきましょうか。通販系は費用が抑えられるのがメリットですが、逆にリスクもあります。
ナカヤマ なんでしょう?
しごとにん 素人が保険内容をよく理解しないまま、ただ費用を抑えるだけのために必要なオプションを外してしまうことがあります。冒頭で申し上げた人身傷害や弁護士特約をキチンと理解した上で外しているのか、ただ何となくそうしたのか。さもないと、事故後に「えーっ、このケースはカバーされないの!?」という後の祭り状態になります。
ナカヤマ Webでの申し込みは、何もかも自分の判断だけになりますね。素人の場合はどうすればいいでしょう?
しごとにん 判断に自信がなければ、直接コミュニケーションのできる窓口が間違いがなくてよいです。どうしても通販系を選びたいのなら、ご自宅の近くに修理拠点(工場)があるかどうかだけは確認しておきましょう。というのは、外資系の中には拠点が少ないケースがあって、自宅からすごく遠い場所にしか拠点がないと、かなり手間取ることになりますので。それくらいですかね。
ナカヤマ なるほど、勉強になります。今日はためになる保険の情報、ありがとうございました!
このインタビューの後、確認のために加入している自動車保険会社に電話して、あらためて保険のカバーの範囲を確認しました。すると、自転車事故でもカバーしてくれることや、他人の車に同乗させてもらっているときの事故も、保険支払いの対象になることを教えてもらえました。
何が保険の対象になって、何がならないかを把握しておくだけで、心構えもずいぶん変わるものです。ぜひいま一度自分の保険内容を確認しておいてはいかがでしょうか。
【防災・防犯ラボ:もしも交通事故の相手が無保険ドライバーだったら...】
最近私の周りで立て続けに起きたのが「任意保険未加入者との事故」。それも、未加入者が加害者であるという最悪のケースです。相手が任意保険に入っていないため、交渉がままならなかったり、失うモノはないとばかりに無視を決め込む輩もいたりと、じつにけしからん事態になっているのです。
こんな理不尽なことが許されるのか? こっちがいくらマジメに任意保険に加入していても、相手次第でやられ損になってしまうのか? どうすれば危険を回避できるのか? ――分からないことだらけです。そこで今回は、保険のエキスパートで誠ブロガーでもある、しごとにんさんに、その辺りの話を聞いてきました。
●しごとにんさんのプロフィール
10年余り生命保険業に所属し、一社専属の大手国内生保から乗合い代理店、保険ショップ運営を経験。現在は業界から距離を置き、俯瞰(ふかん)できる立場で個別相談や執筆活動を行う。また、「保険選びネット」というWebサイトでもコラムを執筆中。
誠ブログ「生保のトリセツ」:(http://blogs.bizmakoto.jp/shigotonin/)
●無保険ドライバーと事故ったら、やられ損なのか?
しごとにん 基本的なことからお話すると、自動車保険は自動車損害賠償責任保険(通称:自賠責)と任意保険の2つに大別できます。
ナカヤマ 自賠責保険は強制で、それにプラスαで任意保険に加入するのが一般的なパターンですね。
しごとにん そう、法律にのっとって車検を受けている人であれば、自賠責には必ず加入しています。でも任意保険は文字通り任意ですので、入っていなくても別に構わないということになります。
ナカヤマ 自賠責の補償額は3000万円でしたっけ?
しごとにん 上限が被害者1人につき死亡3000万円ですね。過失割合などの条件で額が下がることはあります。
ナカヤマ 任意保険の加入は義務ではないということは、事故の相手が保険未加者だったら、運が悪かったとあきらめるしかないのですか? すごく怖いし、納得ができないのですが。
しごとにん いえ、大丈夫。ちゃんと自衛できます。ご自身で入っている任意保険に人身傷害特約は付いていますか? これがあれば、相手の保険加入状況に関係なく保険金が支払われます。
ナカヤマ つまり、やられ損はないと?
しごとにん そうです。過失割合次第ですが、その割合に応じて自分の加入している保険会社から保険金が出ますから、それを治療費に充てればよいということです。
ナカヤマ (財布の中から自動車保険カードを取り出して......)あ、人身傷害付いてます。
しごとにん ならばそこは大丈夫ですね。車の保険の基礎となる土台は相手への賠償です。これは最低必要です。その上にくるのが自分の身を守る人身傷害特約。で、さらに車両保険で車本体を守る、という優先順位になります。人身傷害特約はオプションですが、こういうケースを想定してどなたも入っておくことをオススメしますね。
●特約はケチるな
しごとにん 対人と対物はどうなっていますか?
ナカヤマ ええと......どちらも無制限になっています。
しごとにん ならば問題ありません。3000万円など上限を設けることもできますが、無制限にしておく方がよいでしょう。保険金額は多めに見積もっても年間で数1000円しか変わらないので、ケチらないことです。
ナカヤマ それ以外にアドバイスはありますか?
しごとにん やはり、生命保険の加入もしてある方がよいでしょう。というのは自賠責での3千万円はあくまで上限ですので、実際問題として死亡保障としては心もとないかと思います。あと、できれば弁護士特約もあると交渉窓口になってくれるので安心ですね。
ナカヤマ それも入ってます!
しごとにん そこまでカバーしていれば、無保険ドライバーにおびえる必要はないですよ。
●意外と多い? 保険の更新忘れに気をつけましょう
しごとにん 保険を正しく使えば、相手が誰であれ大抵のリスクから自衛が可能です。本当に怖いのはこちらが加害者になってしまった場合です。
ナカヤマ ですよね......ドライバーは誰だって犯罪者になってしまう可能性があるわけですから。
しごとにん 自動車事故で相手を死なせた場合は刑事事件になり、(状況次第ですが)刑務所行きを覚悟した方がいいでしょう。もちろん前科歴が付きますし、賠償も重くのしかかる。出所後の人生が大きく狂うのは想像に難くないですよね。
ナカヤマ 免許更新のとき、顔にモザイクの掛かった受刑者が登場するビデオを見せられますが、あれ見ると本当に気がめいるというか、自分がそうなったらどうしようとか、無性に怖くなります。
しごとにん 法の裁きは今回のテーマではないので触れないでおきましょう。で、自動車事故の真の悲劇は、無保険状態で加害者になってしまうことなんです。
ナカヤマ え? でも任意保険に加入していれば、そういう事態にはならないはずですが?
しごとにん それが、まれにですが契約者が更新をし忘れていて、本人は気が付かないまま無保険状態で車を運転しているというケースがあるんです。それでいざ事故を起こして保険会社に助けを求めたら、「切れてますけど」と言われて頭を抱えるという......。
ナカヤマ まさかそんなことが。
しごとにん あるんですよ。
ナカヤマ ......そういえば更新時期には保険会社からハガキで連絡が来ますね。あの返事を出し忘れてしまうと契約は自動終了してしまいますね?
しごとにん ええ、損害保険は毎年加入者が更新せねばなりません。自動更新の方が保険会社はありがたいですが、そうではないんですね。つまり、放っておくとリセットされてしまいます。
ナカヤマ 何かの拍子でハガキを片付けたり、後でやろうと思って本の間に挟んだりとか、ありそうですね。
しごとにん そういう本人のミスもあるし、引越しなど転居連絡の不備による不達、代理店の廃業という本人は関係のない落とし穴もあります。
ナカヤマ うわあ......、保険会社から連絡があると決め付けるのはまずいかも。
しごとにん 基本的には保険会社がリマインドしてくれます。ただ、絶対確実ではないと心しておきましょう。
●保険の更新作業を忘れないコツ
ナカヤマ 更新のし忘れが命取りになることもあるわけですが、しごとにんさんが実践している忘れないためのコツってありますか?
画像:保険の更新を忘れないようスケジューラーで管理
(http://bizmakoto.jp/bizid/articles/1111/22/news002.html)
しごとにん ハガキが届いたら、私はすぐに済ませてしまいますよ。どうせ継続するのだから待たずにさっさと処理します。やってはいけないのが(引き出しに片付けたり、棚の上に置くなど)キレイに保管してしまうこと。でも、平日の朝の忙しいときにハガキを手にすると、つい「帰宅してから......」となるでしょう。そういうとき、私は自宅のデスクトップPCのスクリーンに目立つように張ります。原始的ですが、これなら絶対に見落とすことはありません。
ナカヤマ 私は、毎年保険が切れる前日とその1カ月前のタイミングでスケジューラーからアラートを飛ばすよう設定しているのですが、このおかげで余裕を持って更新できています。
しごとにん それいいですね。紙の手帳でもGoogleカレンダーでも、ご自身のやりやすい方法でタスクとして予定に落とし込んでおくのはいいアイデアだと思いますよ。
●通販系の保険加入時に犯しやすいミスとは
しごとにん 最近普及している通販系の保険にも言及しておきましょうか。通販系は費用が抑えられるのがメリットですが、逆にリスクもあります。
ナカヤマ なんでしょう?
しごとにん 素人が保険内容をよく理解しないまま、ただ費用を抑えるだけのために必要なオプションを外してしまうことがあります。冒頭で申し上げた人身傷害や弁護士特約をキチンと理解した上で外しているのか、ただ何となくそうしたのか。さもないと、事故後に「えーっ、このケースはカバーされないの!?」という後の祭り状態になります。
ナカヤマ Webでの申し込みは、何もかも自分の判断だけになりますね。素人の場合はどうすればいいでしょう?
しごとにん 判断に自信がなければ、直接コミュニケーションのできる窓口が間違いがなくてよいです。どうしても通販系を選びたいのなら、ご自宅の近くに修理拠点(工場)があるかどうかだけは確認しておきましょう。というのは、外資系の中には拠点が少ないケースがあって、自宅からすごく遠い場所にしか拠点がないと、かなり手間取ることになりますので。それくらいですかね。
ナカヤマ なるほど、勉強になります。今日はためになる保険の情報、ありがとうございました!
このインタビューの後、確認のために加入している自動車保険会社に電話して、あらためて保険のカバーの範囲を確認しました。すると、自転車事故でもカバーしてくれることや、他人の車に同乗させてもらっているときの事故も、保険支払いの対象になることを教えてもらえました。
何が保険の対象になって、何がならないかを把握しておくだけで、心構えもずいぶん変わるものです。ぜひいま一度自分の保険内容を確認しておいてはいかがでしょうか。
投稿者 さかた整骨院